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新幹線よりマイカーが便利

2004年3月15日
 3月2日火曜日に岩田屋新館が開業し、3月
13日土曜日には九州新幹線鹿児島ルートが部分開業した。この1年間は、あちこちで天神流通戦争と新幹線開業の話ばかりしてきたので、マスコミの皆さんからも「新幹線と天神流通戦争ネタは勘弁してくれ」と言われる始末である。自分自身も「いざ開業!」という時には、すっかり疲れ果ててしまって、行く気力・試乗する体力もなくなっていた。職場から僅か5分の岩田屋新館にも未だ足を運ぶことはなく、九州新幹線の試乗会にも研究員を送り込んだ。しかし、新幹線部分開業と天神流通戦争の話題は、3月に入ってから漸く九州中に知れ渡ることとなったようである。
 
東京に本社を置く上場企業の福岡支店では、「鹿児島出張時の交通手段は、従来の飛行機からJRに変更すること」といった類の通達が3月に入ってから回覧されるようになり、そこで初めて九州新幹線の部分開業区間と時間短縮効果を営業マンは知ったのだと言う。また、3月上旬に九州経済白書の説明会で各地を訪ねたところ、3月に入ってから「今年の1泊2日の社員旅行は新しい百貨店が出来た福岡に」との要望が出始めている企業が増えているとのことであった。数年に1回程度福岡を訪れている南九州の市民は、1989年の「イムズ・ソラリア詣で」から1997年の「Zサイド・エルガーラ・福岡三越・キャナルシティ博多三昧」を経て、再び変貌を遂げようとしている「第4次天神流通」の姿を見て驚くことになるのだろう。
 
さて、これまで「九州新幹線の部分開業が待ち遠しくて仕方がない」といった類のことを言い(書き)続けてきたが、実を言うと、それはビジネスベースの話・オフィシャルなコメントである。福岡-鹿児島間を年に10回程度マイカーで往復する我が家にとって、九州新幹線部分開業は、さほど便益をもたらしたりはしない。大宰府ICから鹿児島北IC間は、流れに従ってゆっくり流しても3時間で済むため、博多駅か鳥栖駅まで行ってリレーつばめを待つ時間を考えると、まだまだ2時間10分程度の部分開業ごときでは自家用車のドア・ツー・ドアの利便性にはかなわない。目指すべきは、飽くまで1時間20分の全線開業である。それは、福岡の営業マンにとっても同様の感覚のようだ。福岡から鹿児島へ出張する際の主な利用交通手段の変化をみると、飛行機からJRへのシフトは当然として、自動車による移動は現在の21.8%から部分開業で20.0%へと、僅か1.8ポイントしか減らない。営業で南九州を外回りするとなると、新幹線を降りてレンタカーを調達しなくてはならないため、自動車での出張が減らないのも道理である。
 
その自動車で福岡と九州各県都間を移動する際にお世話になる九州クロスハイウェイであるが、新幹線部分開業の陰に隠れて最近はほとんど話題にもならなくなった。あたかも九州クロスハイウェイは完成したかのような雰囲気である。しかし、それは誤りである。この3月末に九州横断自動車道の西端が長崎市都心にまで延伸されることなど、福岡ではほとんど話題にもならないが、長崎市内に自家用車や高速バスで向かうとき、ICを降りてからの時間が計れなかった不便が大いに解消されるのである。また、九州縦貫自動車道の人吉-えびの間の加久藤トンネルも未だ片側一車線であり、ボトルネックとなったままである。九州クロスハイウェイ以外にも、東九州自動車道、西九州自動車道、南九州西回り自動車道は虫食い整備にとどまっている。
 新幹線、すなわち軌道系マストラの波及効果に注目が集まる一方であるが、費用-便益分析にも配慮した「道」の整備についても議論を深めることを私達は忘れてはならないのである。

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