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シリコンアイランドの行方

2008年6月19日
 九州の産業構造上の大きな柱である「シリコンアイランド」が、大手企業の再編の波にさらされている。生産数量自体は、オリンピック需要(ちょっと古い。では、ユーロ2008効果ではどうか!)もあって今年に入ってから2ケタ増加が続いているものの、電機・半導体主要メーカーの今年に入ってからの動きをみると、ちょっと雲行きが怪しくなりつつある。
 
まず、3月には、鹿児島県出水市と静岡、山梨の3工場でプラズマテレビとパネルを生産しているパイオニアが、プラズマテレビ用パネルの自社生産から撤退する方針を固めた。パネル生産は松下電器産業に委託する方向で調整しており、プラズマテレビの組み立て・販売は継続する。いわゆる「選択と集中」である。その「選択と集中」の影響を直接受けるのは600人の従業員である。来年1月に閉鎖される予定の出水工場では、従業員の雇用を九州以外の工場への配置転換で継続する方向で調整中だが、一定規模の失業者が発生するのは避けられない見通しである。もっとも、このパイオニア出水工場自体も、NECのプラズマパネル工場を2004年にパイオニアが買収した工場である。
 
同じ3月には、ソニーがゲーム機向けの半導体を作っていた諫早工場と大分工場を東芝に売却した。ゲーム機向け半導体の設備投資が負担となったソニーは、ゲーム機の設計に専念し製造部門を外注することとした。これも「選択と集中」による生き残り戦略である。
 
4月には、NECが、熊本市、山口県宇部市そして福岡県柳川市の3工場を統合した。統合することで一貫生産が可能となり、従業員の増減にも対応しやすくなるためである。
 
同じ4月には、熊本県合志市のルネサステクノロジー熊本工場が三菱電機に売却され、宮崎県国富町の富士通日立プラズマディスプレイから富士通が撤退した。
 
そして先月末には、沖電気工業が宮崎県清武町の宮崎沖電気を10月、ロームに売却することを発表した。
 このような
工場の統廃合が、即リストラ(人員削減)につながるわけではないが、「選択と集中」を進めることは効率性を高めるためでもあるため、雇用に与える影響は無視できない。
 
九州に初めて半導体工場が立地したのは、1967年三菱電機熊本工場(社員43名でスタート)であるが、それから40年を経過して、半導体関連企業は650社に増えた。ところがその間、半導体産業の立地条件は大きく変わったのである。
①「きれいな水が豊富にある」という特長は、今ではガスを用いた生産工程が増えたため、必ずしも「豊富な水」は立地条件から消えた。
②「九州には豊富な労働力がある」という特長も、ロボットによる無人化工程が増えたことにより立地条件から消えた。
③「半導体を国内で輸送するのに必要な空港が多い」という特長も、トラックによる宅配便が増えたため立地条件から消えた。
 
結果、シリコンアイランドは、依然として最先端の技術水準を維持しているものの、必ずしも優位性を維持しているわけではなくなり、かつて4割を誇った全国シェアは2割にまで低下してしまった。
 
集積度が高ければ高いほど、大手メーカーの「選択と集中」による業界再編の影響は九州を直撃することになる。裾野を広げる一方のカーアイランドとともに、しばらくは揺らぐシリコンアイランドの動向に注目したい。

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