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南北2つの空港問題

2008年8月21日
 九州の北と南の両方で、空港問題が大きな話題となっている。
 
北部九州の空港問題と言えば、当然のことながら、福岡空港の過密化対策としての増設か新設かといった問題である。福岡空港の昨年度の年間発着回数は142千回で、限界は145千回と言われている。かつて、九州国際空港問題が空中分解して以来、「九州国際空港」という言葉は禁句となり、今では、福岡空港の容量限界問題は、国と福岡県と福岡市で決めるので、その他の地域は口出しするなということになっている。
 
そんな福岡空港過密化対策であるが、今年6月末に国土交通省から滑走路増設の新しい案が提示されて以降、新設案でほぼ一本化されていた経済界の意見が揺らぎつつある。その滑走路増設新案とは、現在の滑走路の西側(すなわち国際線ターミナル側)に2,500mの滑走路をかさ上げしてつくろうというもの。従来からも滑走路をもう1本つくれないかといったことは議論されてきたが、都市高速道路の高さ制限にひっかかるため断念されてきた経緯がある。都市高速を着座位置の高い高速バスに乗って福岡空港を眺めると良く分かる。ところが今回の増設案は、新滑走路をかさ上げしてつくるため、都市高速の高さ制限にひっかからず処理容量も一応確保できるという優れた案である。もっとも、三苫・新宮や志賀島・奈多への新設案に比べると、事業費こそ5分の1程度で済み、工事期間も短くて済むというメリットはあるものの、借地料や騒音対策費が毎年150億円必要になることに変わりは無く、福岡都心部の建物の高さ制限の問題が解決できず、万一の事故時の危険性を回避することにはならないというデメリットもある。逆に、海上への新設案だと、24時間離発着可能となるため、滑走路の処理容量は勿論大幅に増えるものの、今の時代に事業費1兆円は費用対効果の面でいかがなものかという意見や、海上空港建設は環境問題をクリアできるのかといった指摘もある。そもそも、需要予測が右肩上がりとなっていることを前提に議論することを訝る声も聞かれる。さらに、現在の日本一便利な空港を手放すのは勿体無いという意見も根強い。借地料をディスカウントしてもらうための戦略として新空港建設が議論されているとしたら、それはそれで面白い戦略として評価できるだろう。
 
ともかく、9月上旬には各案のメリット・デメリットが公表されて、その後4か月かけて住民の意見を募り(パブリック・インボルブメント)、年度末までには国と福岡県と福岡市の政治決断となっていくことになる。
 
九州のもう1つの空港問題は、宮崎空港と鹿児島空港の台湾便争奪戦である。今年6月から、宮崎-台北間にはエバー航空が週二往復の定期便を就航させており、鹿児島-台北間には中華航空が将来の定期化を視野に入れて4月からチャーター便を運航している。この状況について、東国原宮崎県知事が「観光客の取り合いをしていては、どちらも成り立たなくなる懸念がある」として競合ではなく協力が必要と、暗に鹿児島県の定期便就航を牽制した。「昨年のフェリー・さんふらわあ問題では、宮崎は志布志から奪おうとはしなかったでしょう」と言いたそうに感じるのは、私だけだろうか。それに対して伊藤鹿児島県知事は、今週月曜日の定例記者会見で「南九州のハブ空港として連携よりまずは競争である」と宮崎県の牽制を一蹴したため、南九州では物議を醸している。
 
九州7県の立派な空港のほとんどが高速道路で結ばれている現在、かつてとは比較できないほど機能分担しやすくなっていることを生かす知恵はないものだろうか。北九州空港、福岡空港、長崎空港…、というネーミングを、九州第一ターミナル、第二ターミナル、第三ターミナル…、として位置づけたマスタープランが必要なのかもしれない。その場合、どこが「第一」なのかを巡って奪い合いが激化し、九州国際空港問題と同じく、再び空中分解してしまうのだろうか。いっそのこと、道州制にシフトすることを検討したほうが、空港問題解決の近道のように思えるのである。

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