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ロボットのショーケース

2016年8月4日
 先週は、船舶の輸出が好調で、電子部品の輸出額を追い越して、自動車に次ぐ九州の第2位の輸出品目になったという話をした。ところが、輸出額の絶対値こそ自動車、船舶、電子部品より小さいものの、近年の円安を背景に、九州で大きく伸びた輸出品目は他にもある。「ロボット」だ。

 そもそも日本では、古くから溶接や塗装など製造の現場で多くのロボットが稼働しており、産業用ロボットの分野において世界一の地位を築いている。例えば、「国際ロボット連盟」の統計データによれば、今から30年前の1985年時点で、日本のロボット稼働台数世界シェアは67%にも達していた。当時、世界のロボットの3分の2は日本で動いていたことになる。その後、世界的に産業用ロボットが急速に普及するようになり、日本のシェアは2000年時点で5割に低下して、2005年で4割、2010年で3割を切り、2014年末時点では20%シェアにまで低下した。それでも世界一に違いはない。ちなみに、中国のロボット稼働台数世界シェアは、既に「世界の工場」という地位を確立していた2000年時点でさえもたった0.1%に過ぎなかったのに、2014年末時点では韓国、ドイツを追い越し世界シェア13%弱にまで増えてロボット稼働台数は、1位日本、2位アメリカに次ぐ世界第3位にまでランクアップしている(4位は韓国、5位ドイツ)。それら海外でのロボット普及に貢献したのは、日本のロボットメーカーの輸出である。
門司税関管内のロボット輸出額は、2000年に79千万円に過ぎなかったのが、昨年2015年には265億円、34倍にまで増えている。九州の主たる輸出港は門司港だ。門司港は全国的に見ても東京港に次ぐロボット輸出港となっている(全国シェアは約2割)。輸出先第1位は中国、2位と3位が拮抗していて韓国とアメリカ、4位ドイツ、5位スウェーデン(全国ベースでの第1位はアメリカ)。そりゃ、中国や韓国の工業製品の品質が良くなったのも道理だ。メイドイン九州のロボットを使っているのだから。
 そんな九州のロボットを見学できる場所がないか探していたら、先日、日本経済新聞が「何でもランキング」のページに「ロボットに出合える場所・ベスト10」というのを掲載していた。ロボットの研究者10名がリストアップしているので、権威のあるベスト10と言える。
驚いたのは、全国ベスト10のうち3か所が九州だ。
 全国第1位は、東京都江東区の「日本科学未来館」(200179日開館。館長は宇宙飛行士の毛利衛さん)。最先端のロボットを数多くそろえており、とりわけホンダの二足歩行ロボット、アシモの実演が充実している。毎日数回、10分ほど登場して、ボールを蹴ったり、手話をしながら歌ったりする。
そして第2位にランクインしたのが、佐世保のハウステンボス「ロボットの王国」。私はまだ行っていないが、「ロボットの館」というのが7月16日、園内にオープンした。入り口に体長9メートルの巨大ロボット「パトレイバー」が立ち、記念撮影でにぎわっているらしい。ハウステンボスはロボットを多数使った「変なホテル」を全国展開するため、来年にもホテル事業を行う新会社を設立する計画だ。
 さらに3位がこれまた九州で、福岡市福岡タワーのすぐ近く(TNC放送会館2F)「ロボスクエア」。ロボカップ2002福岡・釜山大会を契機に、2002720日に開設された。体長30センチ前後の小型を中心に100種類200体を超える新旧のロボットがそろう国内有数の展示を誇っている全国でも珍しいロボット専門の科学館だ。ハローキティの姿をしたロボットが入り口で来場者を迎えて、その奥では会話ロボット「ペッパー」2体が、胸のタブレットを子どもたちにくすぐられると体をよじるそうだ。イヌ型の「アイボ」をなでることもできる。
さらにさらに第7位には、北九州市の「安川電機みらい館」がランクイン。40年前の1977年に日本ではじめて産業用ロボットを作ったロボットの雄=安川電機が2015年、創立100周年事業として100億円超を投じて本社内に「ロボット村」を整備した。その中でロボットを展示しているのが「安川電機みらい館」。小型ロボット6台がわずか9秒でミニカー1台を組み立てる様子が楽しめたり、ソフトクリームを自動でつくる人気者「やすかわくん」や、ロボットとゲーム対戦できるアトラクションなどがある。行かれる方が注意しなくてはならないのが、予約制で小学5年生以上、10人以上の団体のみ受け入れているということ。
 従来のロボットと言えば、多くの場合「産業用ロボット」を意味していたが、今後は、製造現場だけでなく、医療・介護・福祉、農林水産業・建設業の作業現場、災害救援あるいは料理・掃除・留守番などホームオートメーション分野や、既に「おひとりさま」の一部では普及し始めている「ペット」の代わりなど、様々な分野での活用が期待されている。とりわけ九大伊都キャンパスでは、自動運転自動車の走行実験が始まっているが、自動車が頭脳をもったロボットのようになると、運転免許証発行の条件は大きく変わるだろうし、自動運転自動車が万一、事故を起こした場合、責任の所在はどうなって、保険制度はどう変化するのだろうと考えていくと、各方面でのロボットの普及は、多くの産業に予想しなかった影響を与えることになるだろう。
九州が世界に先駆けてロボット活用の「ショーケース」になれれば、それはそれで新しい産業観光にもつながってインバウンドの増加を後押しする誘因にもなっていくのではないだろうか。

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