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「山の日」に考えたい「ウッドアイランド九州」

2016年8月11日
 今年から811日が16番目の国民の祝日「山の日」になった。これで祝日が無いのは6月だけとなった。
 「山の日」は、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としているが、歴史上、山に関する特別な出来事が811日にあったわけではない。日本山岳会などは、全国的に多くの山開きが行われる61日を提案していたが(九州の場合はGWに入る頃の山開きが多い)、61日だとまとまった休みが取りにくく、かつ登山シーズンでもないため、経済効果が期待できない。人とお金が動いてくれないと、企業としては旨みがない。政府としても無策と批判されてしまう。教育現場からも「これ以上休日が増えると授業の消化が困難になる」という意見が出される始末だた。結局、6月以外に祝日が無かった8月に、しかもお盆休みとつないでロングバケーションとするために812日を祝日とする案が「山の日制定議員連盟」で採用された。ところが、812日は日本航空123便墜落事故と同日のため群馬県選出の小渕優子氏らが「日航機墜落事故が起きた日をお祝いするのは違和感を覚える」と懸念を示し、群馬県知事が日付見直しを求めたことを受けて、議員連盟は最終的に811日を山の日とすることを決定したという経緯がある。もっともらしい理由としては、「八」という漢数字の文字が山の形に見えるので8月を、木が立ち並ぶイメージが算用数字の「11」に似ているので811日となったという説もあるようだが後付理由だろう。
祝日「山の日」の経済効果はいかほどのものかという点については、9日付の読売新聞が報じている。全国に62店を展開するアウトドア専門店「好日山荘」の池袋西口店は、8月の売上高を前年比3%増と見込んでいるそうだ。健康志向の高まりで幅広い世代が登山を楽しむようになっており、山の日を商機と捉えている。また、外食や旅行への支出が増えることなどから、「経済効果は数千億円」(第一生命経済研究所の永浜利広氏)との試算もある。しかしこれも平日の支出を抑制することでチャラになるのではないか。九州については、お盆期間に福岡空港を発着する路線の予約状況は、各社とも前年同期比で軒並み1割強増えているが、これも「山の日」効果なのか、「九州ふっこう割」効果なのかよく分からない。ただ、有給休暇を使い切る勇気を持てない小心者サラリーマンでも「国民の祝日」とあらば休まざるを得なくなるので、ほんのちょっとは景気浮揚効果が期待できるのかもしれない。
 そんな祝日「山の日」を迎えて、九州に住む私たちが「山」について考えてみたいことがある。
 九州は日本を代表する林業地域であるが、同じ一次産業の中でも農業や水産業が形成する「食料供給基地」に比べると地味な存在にとどまっている。スギやヒノキの素材生産量は全国の35%を占めており、温暖な気候によって人工林の成長も早い。戦後造林された人工林が伐採時期を迎えているため、今後も供給量は増えていくと見通されている。さらに今年5月に発表された「森林・林業基本計画」においては、国産材の供給量を2014年の実績値2400万立方メートルから10年後の2025年には1.7倍にあたる4000万立方メートルにまで増やす数値目標が掲げられた。しかも、「日田スギ」や「飫肥スギ」といったブランド材が存在するのに加えて、大川・諸富木工家具のような一大家具産地も形成されている。
 このように見てくると、森林資源に恵まれた九州は、木材の川上(素材生産)から川中(製材・加工)、川下(販売・輸出)までのサプライチェーンが充実した「ウッドアイランド」の様相を呈していることに気付く。
 九州における「山の日」は、「ウッドアイランド九州」について考える祝日でもある。

 

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