« 限界集落の現況と課題 | トップページ | 過疎地で復活する貨客混載 »

総じて足踏み続く九州の景気

2016年10月6日
 今週月曜日、9月の日銀短観が発表された。全国の全産業のDIは+5。九州の全産業のDIは+11。足もと4年間は、九州のDIは連続して全国を上回り続けている。安倍政権になったからなのか、麻生財務大臣になったからなのか、あるいは大牟田出身の黒田日銀総裁になったからなのか、どの政策がどれだけ九州に効いているのかよく分からないが(全国より九州に、より効果があるのは金融政策より財政政策だが)、とにかく全国よりは良い。
 ちなみに、日銀短観は今から42年前の1974年(昭和49年)に第1回調査が始まり、今回で170回目を迎えた。過去170回のうち九州の景況感が全国を上回ったのは92回。下回ったのが62回、全国と同じDIだったのが16回。92勝62敗16引分ということで、勝率を「勝ち数÷(試合数-引分数)」で計算すると、5割9分7厘。今年のホークスのレギュラーシーズン勝率が6割飛んで6厘なので、過去42年間の「九州の景況感」の「全国の景況感」に対する勝率は、だいたい今年1年間のホークスの勝率と同程度と考えられる。だから何だというご指摘もあろうが…。
 九州のDIがあの熊本地震直後の6月短観でさえも+5で全国の+4を上回ったからくりは、3か月前にお話しした通り、九州の短観には、絶好調の沖縄を含んでいるからだ。今回もその沖縄が大きく影響している。沖縄のDIは、6月の+39からさらにパワーアップして今回は+42。四半世紀前のバブル期を上回る絶好調ぶりが続く。沖縄が絶好調な理由は、公共投資と国内観光客数が堅調に推移するなか、那覇空港にLCCを次々と呼び込むのに成功したうえに、クルーズ船(那覇港と石垣島の石垣港、宮古島の平良港ひららこう)が、寄港をお断りしてもやってくる(今年は30件お断りしたにも拘らず108%増、来年分の予約は既に47件をお断り済み)結果、インバウンドが今年に入ってからも前年を5割以上上回って伸びていることだ。それと決定的に本土と異なるのが、「人口増加」が続いていることだ。定住人口も交流人口もともに増えているのだから、沖縄県内の胃袋の数は相当増えているので、単純に食費だけを考えても景気が悪くなりそうにない。
 沖縄でとくにすごいのが、スーパー、コンビニに代表される「小売業」だ。6月のDI+60から今回は+80へ。そして沖縄県小売業界の先行き見通しDIは、遂に、初めてお目にかかった「+100」だ。
 そんな絶好調の沖縄県を除いたところでの「九州7県」のDIを独自に再計算してみると、「+7」で、全国の+5を2ポイント上回ってはいる。
 では、今回、九州7県のDIが全国を上回るのに寄与した地域、あるいは業種は何か。
 ズバリ、地域で言えば「熊本県」。業種で言えば「観光関連」ということになる。
 来週末には最初の震度7から6か月を経過する熊本のDIは、前回の▲16から今回は+8へと一気に24ポイントも増えている。熊本県内の製造業でも、被災した工場が8月頃には続々と再開したので、半導体生産が多くを占める「電気機械」が▲27から+18へ。自動車部品と二輪車が多くを占める「輸送用機械」が▲25から±0へと改善傾向を示して、シリコンアイランドとカーアイランドの一翼を担う熊本製造業も落ち着きを取り戻しつつあると言える。
 一方、九州全体の「観光関連」のDIは、前回の▲24から今回の+21へと45ポイント改善した。「九州ふっこう割」様様といったところだが、今回の+21でも実は熊本地震前には戻っていない。昨年の9月時点では+30、12月+26、3月+26だったことを思うと、まだ本調子ではないということになる。とりわけ、熊本県の観光関連DIは未だに▲34にとどまっており、前期の▲80という総崩れ状態よりもはましになったが、インフラ整備が追い付いていないので、まだまだ復興の道のりは長いと思われる。ちなみに観光施設の被害が大きかった大分県の場合、観光関連DIは、前期▲50と大きく落ち込んだものの、今期は+22へと大きく改善している。従って、九州の観光業界では、熊本県を何とかしなくてはならないという課題は残ったままだ。
 昨日10月5日水曜日から10~12月期の「九州ふっこう割」第二期の第二弾が発売されている。9月までよりも割引率が小さくなったとは言え、熊本県と大分県は最大50%(平均20%)、その他の県は最大40%(平均10%)と依然お得感はあるので、年内はこれでいける。問題は180億円の補正予算額を使い果たした後の来年だ。九州ふっこう割無かりせば、今頃どんな状況になっていただろうかと考えただけでもぞっとするが、同時に、せめて熊本観光だけは年明け後も一定の措置を継続していただけないものだろうか。

|

« 限界集落の現況と課題 | トップページ | 過疎地で復活する貨客混載 »

バードウイング手帳」カテゴリの記事